「は……はい」
「うん、じゃあ疲れないかなー。葉月ちゃん、宿題手伝ってね」
「……え?」
何を言い出すのこの人?って感じの私の声に、陽平君は可笑しそうに笑った。
「はは、冗談。いや、実は結構本気なんだけどね」
……冗談なの、冗談じゃないの、どっちなの。
複雑な心境の私を置いて、陽平君は話を別の方向に変えた。
「あとさ、敬語やめよ?俺ら同い年なんだしさ」
そう言う陽平君の目は、今までと違ってちょっと真剣そうだった。
あ、そっか……何となく敬語だったけど、おかしいよね、確かに。
「はい、わかり……あ、うん、わかった」
ちょっとだけ敬語が出てしまいかけて、私は焦って直した。
……うん、頑張って慣らしていかなきゃ。
陽平君はにっこり笑って言った。
「じゃあ、これからよろしくね?葉月ちゃん」
私も笑って言った。
「うん、よろしく。陽平君」
その時、少しだけ……。
少しだけ、これからの夏休みが楽しみに思えたんだ。