──それから少しして。
私たちは近くにあったファストフードに席をとり、向かい合って座っていた。
ハンバーガーを頬張りながら、お互い簡単な自己紹介を済ませた。
わかったこと。
名前──山内陽平
年齢──16歳
高校──松陰高校
部活──バスケ部
こんなもん、かな?
私も同じく自己紹介を済ませると、陽平君が言った。
「葉月……ちゃん?って呼んで良い?あのさ、メアドとか聞いて良い?」
「あ……ごめんなさい、私、実は携帯持ってなくて……あ、呼び方は良いですよ。大丈夫です」
私がそう言うと、陽平君はびっくりしたような声を出す。
「えっ、葉月ちゃんってケータイ持ってないの?」
「……はい……」
私は俯きがちに答える。
やっぱり、時代遅れだよね、今どき携帯持ってないなんて。
そう思いながらちらっとみると、陽平君は「うーん、まあいっか……」とか言っている。
「うん、良いよ、俺よく図書館来るし、また会えそうだから」
「……え?」
思わず、馬鹿みたいな声を出してしまった。
だって、今までそんな前向きな反応してくれた人初めてだし。
学校の人とかは、「えーマジでー!?」とか、「はやく買いな!」とか、「うそ、今どき持ってないの!?」とか、そんな反応をしてきたから。