すると、真面目そうに勉強していたその人が、うるさくした私をうろんげな顔をして見てきた。
……やっぱり。
絶対、昨日の人だ。
私がそう確信すると同時、その人も私に気がついたようで「あっ」と声をあげた。
「昨日の……」
うん、間違いない。声も昨日と同じだ。
私は、慌てて頭を下げた。
「あ、あのっ、昨日は、ありがとうございました!」
もちろん、小声で。
その人も驚きを表情に残したまま、ゆっくり微笑んだ。
「どういたしまして。……まさか、こんな所でまた会えるとは思わなかったなあ……」
「私もです……!」
だって、まさか、図書館で。
たまたま隣に座るなんて、結構な確率だよね。
……と言うか、まず、図書館にこの人が来るなんて想像もつかなかった。
だってなんか、そういうタイプに見えなかったし……。