* * *
約一時間後。
私は、好きな作家のミステリー二冊と、面白そうなファンタジーを無事に借りれて上機嫌だった。
そのまま、図書館の隅の方にある一室に向かう。
そう、ここが、図書館が開放してる自習スペース。利用するのは初めてだけど。
四人くらい座れる長机が六つくらいあって、高校生からおじいさんおばあさんまで、色んな人が座っている。
私はその中の一つの席に腰を下ろすと、数秒間頭の中に自問する。
宿題するなんて言って来ちゃったけど、別に、宿題しなくてもばれないよね?
まだまだ夏休み始まったばっかだし……今は、借りた本読みたい。
ほら、本読んでる人もいるし、ここで本読みながら時間過ごしても平気だよね。
……あっ、でも隣の人は勉強してるなぁ。やっぱちょっとは勉強しようかな……隣の人みたいに……。
…………って、
「えええっ?」
私は思わず素っ頓狂な声をあげてしまい、周りを見て慌てて自分の口を押さえた。
だってだってだって、隣の人……!!!!
見紛うことのない、昨日助けてくれた、その人だったんだもん。