憮然とした態度をとる私を面白そうに眺めるその人を軽く睨む。


変な人。すごく、変わった人だと思う。


でも、この人がいなきゃ今ごろ私は……どうなってたか想像できないけど、きっとすごく困ってたな。


そこまで考えて、ふと唐突にあることを思い出した。



「……あっ!時間!」



突然勢いよくブランコから立ち上がり、大声でそんなことを叫んだ私に、彼は驚いた視線を向ける。


しかし私はそんなことは気にしてられず、別のことを彼に聞いた。それも多分、必死の形相で。


「あのっ、今何時かわかりますか!?」


私の問いに、彼は戸惑った表情をしながらも、ポケットから携帯電話を取り出して時間を見てくれた。


「えっと……8時半、になるとこかな」


「8時半……!!!」


私は絶望的な声を出す。


どうしよう、いつも六時半には家に着いてるのに、二時間も遅れちゃった……。


私、携帯電話も持ってないし、連絡もできない……!