そう言ってこちらに来て、私の隣のブランコに座る。
「あの……ありがとうございました」
ずっと言えてなかったお礼を言うと、彼はへらっと笑った。
「いやー、そんな大したことじゃないし、こっちが勝手にやったことだから気にしないで」
「そ、そうですか……でも、何で?」
ずっと、聞きたかったこと。
彼はうーん、と唸り、それから言った。
「……そうだなぁ……何でって言われても……なんか、困ってたから、君が」
「……それだけ?」
思わず、私は聞き返してしまった。
「それだけ?って?」
きょとんとした表情をする、その人。
しばらくして私は、なんか失礼なこと言ってるかもしれないと思い、慌てて答えを言葉にした。
だって、今の答えに不満をもっているみたいに思われたら、かなり失礼だもん。
「……あの、えと、だって、見ず知らずの人が困ってたくらいで、あーゆー人に声かけられるかな、って思って…………ただの“通行人”なのに」