「はるきー?ぼーっとしてたでしょー」
そう言って
いたずらそうに笑う朱莉。
「あ、ごめん」
「ううん。新曲のこと考えてるの?」
「いや、思い出してた。」
「ん?何を?」
「入学式の日のこと」
「あー!晴樹と初めて会った日だー」
「そう」
「でもなんで?」
「なんとなく」
「はははー、なにそれー
ぼーっとしてたら置いてっちゃうよ?」
「ん、ごめんごめん。帰ろっか」
そう言って歩き出した俺の手を
朱莉から繋いできた。
めずらしい…
「どうした?」
「んー?」
「これ」
ぎゅっと繋がれた手を少しあげて
朱莉に見せる。
「んー…なんとなく?」
「なんだそれ」
「晴樹のまねー」
1人でキャピキャピと笑う
朱莉が笑う
その横に俺がいれること。
なんとも幸せなことだ。