周りのファンの子たちの声が
少し聞こえた
「颯太くんって歌もいけるんだねー」
「ねー!歌詞もまっすぐですてきー」
「いつもよりかっこよくない?」
「うんうん!しかもこれ告白でしょ?
いいなぁー、憧れるー」
「相手の女の子、ちょー幸せ者じゃない?」
「ずるーい!」
う…
なんだか申し訳ないなぁ
確かに私
すっごく幸せ者。
ふふっ
颯太くんの人気も上がったみたいだし
よかったー
そう思って
喋っていたファンの子を
ちらっと見ると
うわ…美人
しかも
『颯太』って書いた手づくりうちわ
颯太くんファンなんだ
嬉しいけど
…颯太くんこの子に乗り換えちゃったりしないかな
だってすっごい美人さん。
そもそも颯太くんは
私なんかのどこがいいんだろう…
私、颯太くんのこと
何も知らないなぁ
このファンの子達は
ずっと見てきたんだよね
私の知らない間の颯太くんも。
彼女でもないくせに
勝手にやきもちをやく私。
せっかく颯太くんが
歌ってくれているのに
私の心の中はモヤモヤでいっぱい。