ステージに上がり
ドラムセットの前に座る。
そしてすぐに蓮矢先輩が出てきて
メンバー四人が揃う
観客からはたくさんの拍手と
キャーキャーと騒ぐ声
それぞれが自分の好きなメンバーの名前を叫び
一段と盛り上がる客席
俺の名前を呼ぶ声もいくつかあがる
その声に手に応えるフリをして
俺は客席をぐるぐると見渡していた。
先輩…どこにいるんだろ
あ…見つけた。
客席の1番後ろに立つ古閑先輩。
他のファンの子達に押されて
いつもより小さく
申し訳なさそうに立っている
その姿がなんだか愛おしくて
見つめていると
先輩とばちりと目があった。
そらされるかな…
そう思っていたら
古閑先輩が小さく笑って手を振ってくれた。
俺も他の観客にはばれないように
小さく微笑みを返す。