よしっ…



小さくガッツポーズをして


出て行こうとすると



「颯太」



蓮矢先輩の低い声が呼び止める。






先輩の方を振り返ると



「ヘマすんなよ」



意地悪くニヤッと笑う。






「大丈夫です。先輩こそ、ドラムミスんないで下さいね」





本当は余裕なんてなかったけど



緊張をほぐそうとしてくれた先輩の気持ちに乗っかって





先輩にベーッと舌を出す。





「はっ、上等だ。」





そう言って俺の前に差し出されたのは


ギュッと握られた先輩の手。





俺も作った握りこぶしを合わせる。




「行ってこい。」


「はい!」




さっきよりも落ち着いてる自分がいた