「ハル先輩の作る曲がなんでいいかわからないのー?」
「…?」
「えー!メンバーなのに?」
さっきからちょいちょいムカつくな
多分天然なんだろうけど。
「ハル先輩の書く歌詞って
まっすぐなんだよねー。かっこつけてないっていうか。」
「はぁ…」
どういうことだ?
「カッコつけた言葉遣いじゃないからそのまんまの気持ちがすーって、自然に入ってくるんだよねー!」
「なるほど…」
「けど藤村のはカッコつけすぎ。
なんか無理して背伸びしてるって感じー」
ぐさっ…
「すいません…」
「もっと藤村のまんまでいいと思うよー?その方がこの先輩にも気持ち、伝わるんじゃない?」
「そうだよな…って、え⁉先輩⁉」
「なに…?この先輩が好きなんじゃないの?」
そう言ってトントンとノートを叩く野島の指は
『古閑 麗那先輩』
と書いて
ぐるぐると丸をつけた俺の文字を指していた。
うっわ…はず
「返せ、ばか!」
「はいはーい
ふふっ、こんくらいストレートな方が藤村っぽくて私は好きだなー」
その言葉に驚いて野島を見ると
彼女はもうノートをとっていた。
野島、いいやつ。