自動ドアが開くと、軽快な音楽があたしを迎える。
こういう所はちゃんとコンビニっぽい。

そしてその音に反応して、レジにいたおばちゃんの視線がこちらに向いた。

「あら、」

書き物をしていたであろうおばちゃんの手が止まる。

「友菜(ゆうな)ちゃん、久々じゃないの」

「おばちゃん!いつ退院したの?」

最近でこそ2日に一回は来てるけど、普段でもしょっちゅうこのコンビニに来るあたし。
1ヶ月前くらいからおばちゃんの姿を見なくなってしまって、何かあったのかななんて思っていたところ、持病が悪化して入院していると、噂で聞いて。

いつ戻ってくるかもわからずにただただ心配だった。

「昨日ねー、やぁっと先生から外出許可が降りたのよー」

嬉しそうに、うふふと笑うおばちゃんの姿に、ホッとした。
ふっくらしていたはずのほっぺたとか、こころなしか少し痩せたような気がする。

「またずっとお店にいれるの?」

あたしがそう言うと、おばちゃんは言葉を詰まらせて。
すごくすごく切なそうな顔をして、また少し笑った。

「そうねぇ、」

消えちゃいそうにか細い声で、そう呟いて。

「でも、友菜ちゃんがまだこうしてここに通ってくれてて、おばちゃん嬉しいわぁ」

そう言って、おばちゃんはいつもの屈託のない顔で笑う。