コンビニに行ってくる、と告げて玄関にあったクロックスに足を入れた。

外に出た瞬間、真夏の太陽がジリジリと体を照りつける。
暑いというより痛いという表現の方がしっくりくる。

思わず眉をしかめて、「あつーい……」と独り言を呟いて歩き出した。

車が通る幅もない田んぼと田んぼの間をフラフラと歩く。

電車もバスも通らない超がつくド田舎。
タクシーだって呼ばないと来ない。

おばあちゃんとかおじいちゃんは緑が豊かでいいじゃないかと言うけど、高校生のあたしにとっては窮屈な場所でしかない。

早く高校卒業して。東京の大学に行くんだ。
ずっとずっと、そう思っていた。

田んぼ道をしばらく歩くと、この街唯一のコンビニと呼べるお店がある。

一応看板にはでっかく『コンビニ』って書いてあるから、街のひとはコンビニと呼ぶけど
朝は11時にならないと開店しないし、夜は9時には閉まってしまうという田舎っぷり。

都会の人が聞いたら笑っちゃうだろうな。
品揃えだって決していいとは言えない。