「…………あ~…なんも考えてなかった」
「………えぇ?」
一世一代の告白なんじゃなかったの!?
真ちゃんは、至近距離で苦笑すると。
だって哲が怖いんだもんよ~、と、私の首筋に、唇を寄せた。
「……ごめんなぁ、蜜」
蜜が、哲の手を取った時に、吹っ切れるはずだったんだ。
唇は、触れてはいないけれど。静かな息遣いは、熱い。
真ちゃんは顔を上げないまま、私の髪を、梳く。
その手も、熱い。
「…ごめん、な」
誰と付き合ってても、蜜と比べちゃうのョ。
…全然、吹っ切れて、ない。
「哲が大事にしてるの、誰よりも知ってるのに、俺さぁ…」
……この前のストーカー野郎を、羨ましいと……思ったんだ。
何にも考えないで、ただ蜜だけを手に入れようと…できちゃった、あいつ。
俺、あんな奴を…羨ましく思っちゃったんだ。
「もう、限界だと…思った」