音楽は、ない。
警鐘も、ない。
ただ真ちゃんの金髪が、私の視界を遮るだけ。
いつもみたいに、くだらない事を言うだけでありますように。
間違っても、好きだとか真面目に口に出しませんように。
「目ぇ逸らしたり瞑ったりしたら、キスするょ?」
「…えぇ…!?」
なんだよ!
なんの拷問だよ!!!!
私めっちゃ不利じゃないか!
真ちゃんの手のひらは、いつも熱い。
ずっと額を押さえたままの、手。
真ちゃんは、私のまばたきが落ち着くのを待つつもりなのか、じっとしている。
「…私、どうしてればいい?」
「このまま」
哲、哲。
これは、大事なことなの?
真ちゃんにとって、大事なことなの?