「蜜、落ち着けって」

「私フラフラしてないもん!!」



真ちゃん大好きだけど!!
哲と較べたことなんか無い!


「“でも”とか“だって”ばっかりで!」


真ちゃん大好きだけど!



なんで二股かけてるように言われなきゃならないの!




「蜜!」

「哲もだよ!なんで真ちゃんかばうの!?」


ちゃんと、きちんと、話させなきゃ駄目じゃん!
2人が嫌なら、哲が一緒にいてあげればいいじゃん!


私!

哲も真ちゃんも私に縛られてる可哀想な男だなんて、思われたくなかった!!!



「“他に好きな人がいる”っていう理由…最低…!」



簡単かも知れないけど!
そんなの、最低だよ!!




「真ちゃんも哲も、大嫌い!!」



私は、手を伸ばした哲を振り払って、奇妙に私を見つめたままの真ちゃんを睨みつけて。

神妙に口を噤んでいたエレンさんを見ないまま。


画鋲の飛んだ、剥がれかけたシーツごと、ドアを閉めた。