「真ちゃんの匂い、しないでしょう?」



だって、全然来てないもの。

歯ブラシ捨てちゃってから、全然来ない。




「……」


彼女は、わずかに我に返ったのか、とうに我に返っているけど後に引けないのか判らないけれど。

怒ったように、私のバスルームから踵を返すと、部屋の、クローゼットを乱暴に開けて。

固まった。



「………なんなの、これ」






「……も…もやし」

「もやし!?」



もー、…やめてょ恥ずかしい。

イイじゃない、もやし生えるかな~って思って、ちょっと実験してみただけだよっ。




「………食べるの?」

「…そのつもり、デス」


でも採算合わないから、もう育てないかも。

そっ、そんなことより、いないのわかったで……



ちょっ……私のもやし、なんで抜くの!!