制服のまま私達の溜まり場のダーツバー『snow drop』にふらりと入った。
「椿!制服着替えてから来いよ!」
オーナーの金井サンが血相を変えて私に怒鳴る。
金井サンは27才になる、ファンが多い長身イケメンだ。
最近は落ち着いた黒髪だが、出会った当初は金髪のドハデ兄ちゃんだったんけどな。
「あー、わり。ちょっと顔出したら一回帰って着替えてくる。つーか、誰か来てる?」
「イツメンならね。ユキノとルカとスズが来てる」
「……ちょっと話聞いてくる」
店の奥に飾られた私達のチームの旗の下、彼女達は集まっていた。
血のような紅い地の真ん中に描かれた羽を、蘭が円上に囲む。左隅に入る、金糸で縫いとられた『紅蓮支部』の文字が、今となっては痛々しい。
『蘭』……それが、私が率いるレディースチームの名。
この旗を掲げた時は、紅蓮を私達が護るんだと、紅蓮と共に歩くのだと信じて疑わなかった。
「椿さん……」
おずおずと小声でスズが私を呼んで、上座の席を薦めた。
その隣で、ルカが泣き腫らした目で私に何かを訴えかけている。
「……今日はルカの彼氏だった?」
それは、質問ではなく確認だ。
「椿さん、あいつら許せないです。……こんな思いまでして、紅蓮を守んなきゃいけないんですか……?」
ユキノの絞り出すような声に、悔しさが滲み出ている。
「椿!制服着替えてから来いよ!」
オーナーの金井サンが血相を変えて私に怒鳴る。
金井サンは27才になる、ファンが多い長身イケメンだ。
最近は落ち着いた黒髪だが、出会った当初は金髪のドハデ兄ちゃんだったんけどな。
「あー、わり。ちょっと顔出したら一回帰って着替えてくる。つーか、誰か来てる?」
「イツメンならね。ユキノとルカとスズが来てる」
「……ちょっと話聞いてくる」
店の奥に飾られた私達のチームの旗の下、彼女達は集まっていた。
血のような紅い地の真ん中に描かれた羽を、蘭が円上に囲む。左隅に入る、金糸で縫いとられた『紅蓮支部』の文字が、今となっては痛々しい。
『蘭』……それが、私が率いるレディースチームの名。
この旗を掲げた時は、紅蓮を私達が護るんだと、紅蓮と共に歩くのだと信じて疑わなかった。
「椿さん……」
おずおずと小声でスズが私を呼んで、上座の席を薦めた。
その隣で、ルカが泣き腫らした目で私に何かを訴えかけている。
「……今日はルカの彼氏だった?」
それは、質問ではなく確認だ。
「椿さん、あいつら許せないです。……こんな思いまでして、紅蓮を守んなきゃいけないんですか……?」
ユキノの絞り出すような声に、悔しさが滲み出ている。