「ごめん、要。だいぶ落ち着いた」

「全然いいよ、大丈夫?」

「うんっ」

私は、こういう優しい要が好きだった。
…今も好き。



「かぁーなぁーめぇー」

後ろから要を呼ぶ声。
この声は…

「おっ!新太!」

「こんにちは!菜々ちゃんだったよね?」


「はい…」

あの先輩。私の…浮気相手。


「宜しく!佐々木新太(ササキ・アラタ)です!」


「はぃ!宜しくですっ」


「んじゃ、菜々、行くぞっ」
要が私を呼ぶ。


「うんっ」


こうしていつものように要と手を繋いで帰った。