私、大塚奈美(おおつかなみ)の学校生活の一日。


朝、中庭でバドミントンをする先輩を見学。

昼、校庭でサッカーをする先輩を見学。

放課後、先輩のバイト先の本屋で立ち読み・・するふりして先輩観察。

自分でも相当気持ち悪いと思う。ちゃんと自覚してます!
だけど、大好きで大好きで堪らない絋斗(ひろと)先輩を沢山見たいんだもん・・・!!

「はぁーぁ」

思わず憂いの溜め息。恋する乙女ってホント大変です。

「ずいぶん余裕だね・・」

そんな私の溜め息を聞いた前の席の親友、理菜(りな)が呆れ顔で振り向いた。

「テストの間の休み時間に、何もしないでボケッとしてるの、奈美だけだよ?」

「はっ・・」

言われて周りをみてみると、確かにみんなテキストとか見て追い込みしてる・・。
でも、実は私ーー

「あのね、今日やる教科間違えて、国語と数学しか持ってきてないんだ」

「な、なんだってぇー!しかもどっちも終わってるし・・バカなの?次英語なんだけど」

「何とでも言えばいいよっ!どうせ今さらやったって気休めにしかならないし?


「うるさいっ」

「いたっ」

理菜は単語帳で私の頭を叩くと、また机に向かって悪あがきを始めた。

理菜とは小学生の時からの付き合いだけど、勉強嫌いでテストの直前に慌て出す所とか、全く変わらない。

ちなみに私は一応真面目に勉強する派。でも何故か真面目にやってるのに、成績はそんなに良くない。
あ、悲しくなってきた・・・。




・・・・・

テストも分かる所を埋めてしまったら、残りは全部分からない所だけになる。
私はそういうところは考えても分からないから、潔く諦めることにしている。

だから残り次回はだいたい、居眠りか瞑想タイムに突入する。

窓の外を見ると、真っ青でキレイな夏空が広がっていて、去年のことを思い出す。先輩とのことーー。


私がこんなに先輩を好きになったのは、ベタすぎて面白味のないことがきっかけ。