『やっぱり来なかったか…。』


そろそろ帰ろうと思い、立ち上がってお尻についた砂をはらう。


最後にしっかりこの目に今日という日の空と海を焼き付けた。


何だか名残おしいけれど、私は海に背を向けて歩きだす。


その時、私の目に映ったのは―――


―――空。


そこにはあの頃と変わらない優しい笑顔の空が立っていた。


『……っ……。』


涙が溢れて止まらない。


「海、ただいま。」


そっと私の前に歩いてきた空は、そのまま私を抱きしめてくれた。