辞める理由は一身上の都合としか言わなかったのに、何かを感じとって応援してくれた事に涙が溢れてくる。


『岩谷さん、沢山迷惑かけてすいませんでした。ありがとうございます。』


振り返らず片手を上げて歩いて行く岩谷さん。


ほんの短い1年間だったけれど、私は色んな事を教わった。


込み上げてくる涙を拭い、片付けを進める。


ちょうど片付け終わった頃に空が迎えに来てくれた。


「片付け済んだ?」

『うん。』

「じゃあ帰ろうか?」

『うん。』


結局、紙袋は2つになってしまって、たった1年間だったけどお世話になった会社をあとにした。