『あの、私の事知ってるんですか?』


私がそう聞くと、彼は


「入社式で見たし、会社の中でもすれ違ったりしてたから。」


そうだったんだ。


私、全然気付かなかった。


「長倉さんって、下の名前は?」

『海(うみ)です。』

「俺の名前、空(そら)って言うんだ。なんか、海と空って繋がってる気がしない?」

『そうですね。』


この時は何となくそう答えたけど、海と空は本当に繋がっていたんだね―――。


私達が出会ったのは、何か見えない糸で引っ張り合っていたのかな?