言ったが最後、何をされるか解ったものじゃない。


何も言わない私に、痺れを切らしたのか、稚早は足早に歩き出した。私の手を引いて。



「ち、ちょっと放してよ」



「・・・」



抵抗しようにも、きつく掴んだ稚早の腕は男の力で、女の私にはどうする事も出来ない。


そのまま、私の家の前を素通りして歩いて行く。


直ぐ隣にある稚早の家へと向かって。


私の家より、遥かに大きく聳え立ったその家に、押し込まれた。

久しぶりに来た其所は、稚早の香りがした。


不意にドアに押さえ込まれた。



「わっ、加藤く「何で」



私を遮った稚早の声は低くて冷たくて、怒りが籠っていた。




「何で、稚早って呼ばねぇの?」