そっと、目線を上げて稚早を見詰めた。

今、稚早の瞳に私はどんな風に映っているのだろう?


「ただ流れなんだよ。私はもう貴方を、稚早とは呼ばない」



そして呼べない。



あなたの瞳に移る私が、どうか、悲しそうな顔で有りませんように。



「まぁ、仕方無いから、今年も此所に泊まるよ。加藤くん料理出来ないしね?」


稚早から視線を逸らし、笑顔で言った。


稚早は、何か言おうとしたが、其を軽く無視して、続ける。


「私、晩御飯の材料買いに行くから、じゃあ後で」



ドアのぶを押して、私は外に飛び出した。


笑顔が崩される事はなかった。