小さな肩が震えたように見えて、俺は咲絢を抱き締めた。
「………無理すんな。辛かったら休め」
咲絢が抱えているものは、今ではもう俺には分からない。
だけど、咲絢を支える事はできるはず。
………でも、それさえも甘い考えだったと知る。
抱き締められたまま、咲絢がふふふと笑う。
「恭哉くん、知ってた?」
「何を?」
「恭哉くんは、あたしの初恋の人だった、って」
なんで過去形なんだよ?
なんで笑ってそんな事話せるんだよ?
「恭哉くんに彼女さんができた時は悲しかったなぁ。今でもまだ付き合ってるの?」
「……高校を卒業する前に別れた」
だから、咲絢。
「恭哉くん新しい彼女さんはつくんないの?」
「そんなん要らねぇ。俺はお前の事が!………大事、だから……」
咲絢はびくりと肩を揺らして俺を見上げた。
俺が見たことのない、女の顔をして。
「もう少し早くに聞きたかったな。今のあたしは恋愛なんてしてる時間なんてないから……」
「付き合ってほしい、って言うのに早いとか遅いとか……ないだろ……?それとも、他に好きな奴、……いるの?」
「好きな人はいないけど。……なんでだろ……。恭哉くんに告白されてるのに、あたしの頭は仕事の事しか考えてくれないよ……」
俺と咲絢では、今や住んでる世界が違うんだ。
この腕で抱きしめているはずなのに。
咲絢が、遠い…………。
.
「………無理すんな。辛かったら休め」
咲絢が抱えているものは、今ではもう俺には分からない。
だけど、咲絢を支える事はできるはず。
………でも、それさえも甘い考えだったと知る。
抱き締められたまま、咲絢がふふふと笑う。
「恭哉くん、知ってた?」
「何を?」
「恭哉くんは、あたしの初恋の人だった、って」
なんで過去形なんだよ?
なんで笑ってそんな事話せるんだよ?
「恭哉くんに彼女さんができた時は悲しかったなぁ。今でもまだ付き合ってるの?」
「……高校を卒業する前に別れた」
だから、咲絢。
「恭哉くん新しい彼女さんはつくんないの?」
「そんなん要らねぇ。俺はお前の事が!………大事、だから……」
咲絢はびくりと肩を揺らして俺を見上げた。
俺が見たことのない、女の顔をして。
「もう少し早くに聞きたかったな。今のあたしは恋愛なんてしてる時間なんてないから……」
「付き合ってほしい、って言うのに早いとか遅いとか……ないだろ……?それとも、他に好きな奴、……いるの?」
「好きな人はいないけど。……なんでだろ……。恭哉くんに告白されてるのに、あたしの頭は仕事の事しか考えてくれないよ……」
俺と咲絢では、今や住んでる世界が違うんだ。
この腕で抱きしめているはずなのに。
咲絢が、遠い…………。
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