目立たない私服にも着替えたし、変装の為にウィッグも用意したし。



「咲絢、移動するわよ。準備して」

「はーい」




二つ返事を高橋さんに返して、メイクルームでウィッグを被って伊達メをかけたら変装準備終了。




その姿で私が車に乗ると、車は音もなく滑るように走り出した。





突然、高橋さんが思い出したようにミラー越しに私を見て、声をかけてきて。




「……咲絢。うちの事務所が新人タレントや売り出したいタレントの為にパーティを開いてるのは知ってるわね?」

「あー。デビューした頃、何回かは出たことありましたね。それがどうかしました?」




そういうパーティって、スポンサーが欲しいタレントや新人モデルが出るやつだよね?




それに、招待されるお客さんも、どっかの偉い社長さんやプロデューサーに脚本家とかばっかりだったし……。




「今の咲絢には出る必要がないパーティだけど、今度それに出て欲しいの。社長の希望よ」

「パーティ…ですか?いつですか?」



……何のためにだろ?




傲ってるわけじゃないけど、高橋さんの言う通り、今の私には出る必要ないと思うんだけど……。