「あ、これオレの番号。」



「ありがとうございます。」



帰り際、玄関で少女にメモ用紙に書いた携帯番号を手渡した。 



ガチャンー…


「あ…。」


「ん?」



玄関を出た所で急にたち止まった少女。



「名前…。」

「あー名前ね。」


名前を言ってなかった事に気付いたオレたち−ー… 



「俺は山井。山に井戸の井って書くの。ほらここ。」

そう言ってオレは表札を指さす。



「あ、ほんとだ…。あたしっ、美依っていいます!」



「あ、うん。美依ちゃんね。わかった。」


「じゃあ…失礼します。」


「はい。寄り道せずに帰るんだよ?」



「はい。」



美依は山井に深々と頭を下げると山井のマンションを後にした−ー…