今や、男と歩いているだけで誘拐だと誤解を招く世の中−ー−…
そんな物騒な世の中で、少女は黙って俺の後をついてきたー−ー…
ガシャン−ー…
「入って。」
帰宅途中、俺たちは何の会話もなくただ無言のまま時を過ごした−ー…
そして、現在に至る。
こう見えて、俺は1人暮らし。
見た目からして女の子は高校生くらいだしな…
大丈夫なのか!?
なんて考えながら、俺は鍵を開けて少女を部屋に入れた−ー…
「とりあえず、これ着ときな?」
「…。」
少女は紫色の唇を少し動かしたが、結局何も喋らず…
そのまま、俺の寝室で着替えを終えると眠ってしまった−ー…
「ったく−ー」
こんなに小さい体で無理しやがって…
きっと、家出でもしたんだろう−ー
なんて−ー
この時の俺は、少女が心に深い傷をおっているなんて考えてもいなかった…