深夜1時。撮影が終わってマネージャーの車に乗り込む。重い身体がシートに沈んでいくのがわかった。
何気なく窓を開ける。湿気で草が蒸される匂いに身体が疼く。



ーーーまたこの季節だ…。






マンションに着き、エレベーターに乗り込む。部屋は7階。到着するまで一日に溜まったメールにざっと目を通した。


「あ…」


一件のメールに目が留まる。

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差出人:晴
件名:お疲れ様( ̄^ ̄)ゞ

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急いで本文を開けようと思って指を動かすと、目の前の扉が開いた。

『七階です』

急ぎ足でエレベーターから降り、すぐ隣の部屋の扉に鍵を差し込む。
ガチャリと無機質な音がフロアに響き、重くドアが開いた。
ひと気のない暗い部屋からもわっとした熱気が押し寄せる。電気を付け、読みかけていたメールを開く。


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和、仕事お疲れ!今日は長引いたみたいだね(*_*)
明日も早いんだっけ?ご飯作ってやったからしっかり食べて元気出せよー!
まずいとか言わせないから(笑)

もし明日仕事早めに終わったら連絡ちょうだい!
久々に声聞きたい。( ̄^ ̄)
じゃあね!

P.S.
今日も例の鬼上司にボロクソ言われたよー!くそう!明日は見返してやる!(笑)

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「ふっ…」




疲れが吹っ飛ぶ。
晴。付き合って2年になる。俺の、一番大切な人。


ふとテーブルを見ると、お皿に蓋が被せてある。開けると、綺麗に包まれたオムライスにサラダが添えられていた。




窓の外を見上げると、珍しく空が澄んでいて、星がよく見えた。