キーンコーンカーンコーン…

「んぅ……」



微かに耳に届いた鐘の音。
私の視界はぼやぼやとしていて、
頭もぼーっとする。

あぁ、私は寝てたんだ。
そう理解するのに少し時間がかかった。



「空……」



目の前に広がる青い青い、清々しい空。
無意識のうちに手を伸ばす。



「茜色!茜色いるぅ〜⁉」

「あーぃ、いますよぉ〜」



私、斎藤 茜色(さいとう あかね)の名前を聞き慣れた声が呼ぶ。



「あんたはまぁ〜たこんなとこで寝て授業サボって〜」

「こんなとこって、私のお気に入りの場所なのに、屋上」

「お気に入りの場所なのは知ってる!
もう授業終わったよ、帰ろう?」

「…ん」



さしだされた手を握り、立ち上がる。

この子は私の数少ない理解者。
鈴木 理乃(すずき りの)。

私の嫌な事は絶対にしないし、押し付けてきたりもしない。
だから一緒にいれるんだと思ってたりする。



「あー!茜色だ!授業サボりすぎ!」

「茜色〜おはよ笑」

「お、学校いたんか、お前笑」



何故か私はクラスにほとんどいないのにこうやってそれなりに馴染んでる。
正直不思議で仕方なかったり。



「ん、寝てた。」



適当にそれだけ言って荷物を手に学校を後にした。