ハッと目が覚めると、
カーテンの隙間から陽が射し込んでいた。

パジャマが濡れているほど
汗をかいていて、息も荒い。

(アイツに殺される夢を見るなんて…)

息を整わせながらベッドを降りて、
テレビをつけた。
ふと、画面上に表示されている
時間を見てみると、ボーッとしていた
頭が一気に現実に引き戻された。

「8時20分!?」

急いでクローゼットの扉を開け、
中から制服を取りだし、ボタンを
つけていく。

…両親は1年前の高校2年の時に
事故にあい、この世を去った。
それ以来、身寄りのない主人公…
恭汰を哀れに思ってなのか、
引き取ってくれる、という親戚も
数人いた。
しかし、恭汰は「もう高校生だから、
一人で暮らせるので大丈夫です」と
全員断り、学校近くにあるこのアパートを借りて一人で暮らしていた。

制服に着替え、テレビを消してから
カバンを持って家を飛び出した。

アパートの前の家に人だかりが
できていて、警察らしき人も
慌ただしく玄関から出入りをしていたが
遅刻しそうになっている恭汰には
そんなことどうでもよかった。

野次馬たちを横目に、恭汰は
学校へと走っていった。