…ー夢を見た。

誰かに追いかけられながら、
暗い道を走って逃げている夢。
相手の顔は見えないけど、
何でかその人のことを知っているような気がした。

「お…が…ま…れ…」

何かを叫びながらその人は
追いかけてきたけど、
それでも足を止めることはせず
ただ、逃げ続けていた。

どこかで聞いたことのある声…
誰だっけ?

不意に腕を捕まれた。
後ろを振り返ると、
暗闇の中でもわかる、キラリと冷たく
光る刃物を持ったアイツが立っていた。

「信じてたのに…」

酷く傷付いたような表情で、
アイツが呟いた。
そして、持っていた刃物を振りかざし…

「俺のために、死んでくれ…」 

そう言って静かに、振り下ろした…

何だかんだ言っていつも優しくて、
笑顔を絶やすことはなかった、アイツ。
そんなアイツを変えたのは…
誰だったっけ…。

……ああ、俺だ。