「千尋 帰ってきた?」

いつも聞こえる大きな寝息も聞こえずに


アタシは電気をつけてみた。


「まだ帰ってないんだ・・・・・」


どうしたんだろう

血相を変えて飛び出していったから……

きっと花にでも会いに行ったんだろう。


テーブルの上に土鍋が置いてあった。

乱雑な部屋もきれいに片付いてる。


花が掃除して行ったんだ。


机の上の クリアファイルの上に


『千尋 具合どうですか?
お腹すいたらお粥食べてね。花のお粥めっちゃ評判いいんだから~
千尋の寝顔ずっと見ていたいけど 遅くなっちゃうので
そろそろ帰ります。目が覚めたら電話ください。
早くよくなってね。
花が入院した時もずっと一緒にいてくれたよね。
俺にうつしていいよって だから今回は
花にうつしてくれるように 寝顔に一杯キスしちゃった(笑)
何だか得した気分 ウフフ~
     花より』


可愛いメモ帳に 可愛い字で書かれた手紙


思わず握りつぶしてやりたくなって

慌ててその手を反対の手で捕まえた。


夢に出てきた花の悪魔
そしてここにもいた悪魔に

アタシの怒りは絶頂に達していた。