「ねぇ、だから独占させてくれないかな?キミのこと。その目も、声も、唇も、……その心も全部俺だけのモノにしたい。ダメかな?」



そんな顔で言うのは、ずるいと思うんだ。


そんな笑った顔で言うのはさ。


「いいよ。全部……僕の全部をあげるよ。だからさ僕にも独占させてよ。」



彼の首に腕を回して、彼がそうしたように僕は顔をのぞき込んだ。


「ああ、もう……そんな顔して言うのは反則だ。」



困ったような笑いで、彼は言う。


「それ、僕のセリフ。」
「ん?」



数秒見つめ合って、やがて互いに笑い合った。


それから彼は僕にそっと口づけて、


「全部あげるよ。俺のこと、独占してね。」



そう言った。




――END――