「こんな事になって、ホントに残念だよ…」と上司に掛けられた言葉が無性に腹立たしく思えてきた。

その時は何も分からず「はぁ…そういうことなら仕方ないですね。」などと言った気がする。

しかし、今ならきっと「どうしてなんだ!?上手くやっているじゃないか?私の何が気に入らないんだ?私のどこに問題があるんだ?言ってみろよ!」

「あんたら散々、私を上手く使って来たじゃないか?ちゃんとガマンしてきたじゃないか?自分を殺してきたじゃないか?それなのに何故?狂っているのは私じゃない!」と不満をぶちまけていただろう…

そう考えていると「もしかしたら…」と頭をよぎるが誰だって同じはずだと言い聞かせる。

でも、ホントはもう自分が『こどな』だろうと『チルダルト』だろうと『大人』だろうとどうでも良くなっていたのかも知れない。

ただ、気掛かりなのは、妻と子供や親や兄弟のことだ…

「なぁチャイナ…やっぱり家族の事が気になるんだけど…」

「おっ!初めてちゃんと呼んでくれたな!」となんだか嬉しそうに言った。

「まぁ多分だけど政府の連中はこんな事を知られたくないからきっともっともらしい言い訳でお前の家族を納得させているはずだよ、うん」と続けた。

「ありがたいような腹立たしいような複雑な気分だな…」と言うと「ありがたいかぁ?連中はメンツが潰れるのが怖いんだよ、バカバカしい」と笑い飛ばすかのようにチャイナは言った。

その後はしばらく2人して黙って歩いた。

さすがにチョット気まずくて「そう言えばさ…」と切り出す。

「チャイナって歳はいくつなの?」

「歳ね~。ん~忘れた。ってか、その質問はココではあんまりしない方が良いよ、うん」

「何でさ?」

「だってココは『ネバーランド』だぜ?歳なんて誰も気にしちゃいないし、年功序列なんてクソみたいなしきたりも存在しない」

会社に勤めている時は、年功序列が当たり前になっていて、全部ではないが長く勤めているだけで何にもしないそんな人間がデカい面をしていたなと思い出していた。

何かへまをやらかしても言い逃れ、下の者に擦り付ける…「クソったれ!」と思いながらもよく耐えていたと思う。