2人の熱に当てられたのか「私は私なりのやり方で『今』を変えたい」などと口走っていた。

特に何が出来るわけでもない。なんの根拠も計画もないのに…

でも、その言葉に嘘ではなかった間違いなく本心であった。

きっと不意に出た、本心だからこそ、それを裏付けるものが何もなかったのだろう。

あるとするならば、この胸の奥にぼんやりと存在しているのだろう。

「なっ!面白い奴だろ?ガリバー」

「確かに」と言った。そしてまた「よろしく」と手を差し出して、ガリバーは微笑んだ。

その微笑みには、先程の悲しい感情ではなく、優しいようななんだか暖かな感情のようなものが感じられた。

よく見ると手は絵の具だらけで色とりどりだったけど、気が付くとその手をギュッと握っていた。

なんだかなぁと言った表情でチャイナは鼻をポリポリと掻き「じゃあ、早速でなんだけど訓練だ。行こう」と外へ出てまた歩き始めた。

「しっかし、あんなガリバー久しぶりに見たよ(笑)」となんだか嬉しそうに言った。

相変わらず暗い通路を歩いているが、壁にはガリバーが描いたものがそちらこちらに見えてなんだか、ホッとする。

「次に行くとこはチョットお前には厳しいかもな、う~ん…」

「それだったら行きたくないんだけど…」

「それはダメだよ。通過儀礼みたいなもんだから。」

やっぱりなと思いながらも気が重い…

「お前が生き残る為にも必要な事なんだよ、うん。だから、ガマンしてよ」

一体何が待っているのやら全く見当も付かなかった。

テクテク歩きながら、私は本当に『こどな』なのだろうか?ここで言うところの『チルダルト』というやつなのだろうか?と考えていた。

確かに『今』の世の中には不満は沢山あるし、会社に勤めながらも納得出来ない事はそれなりに経験してきた。

それでも、なんとか上手くやっているつもりだった。

飲めない酒もそれなりに嗜み、愚痴や不満を親身に聞いてやり、やりたくない仕事もきっとあっただろうが、しっかりと結果を出している。

私のどこに一体問題があると言うのだろうか?

問題があると決め付けている人間こそ問題じゃないか?