男はしかしこう続けた。

「あっ、そうそう。連絡取ろうと思っても無理だから、さっきお前のケータイも処分しておいたから。あれがあると居場所がすぐに分かっちゃうから厄介なんだわ」

「はぁ?なんでそんな勝手な事するんだよ!」とあまりの身勝手さについ声を荒げる。

「そんなに怒るなよ~代わりのケータイならそこら辺に転がってるから適当に使っていいよ」

「た・だ・しぃ、外には繋がんないように細工してあるから、まぁ俺ら専用のネットワークみたいなもんにしかアクセスや通話出来ないようにしてあるんだ。念には念をって事だな、うん。」

「ちょっ、それって…」

「前にあったんだわ。政府の人間が紛れ込んで潰されそうになった事がさ。まっ、すぐにそいつを見つけて処分したけどね」

男はあっけらかんと恐ろしい事を言ってのけた…正直ゾッとした。

いずれにしても自分の置かれた状況が苦しい事には変わりがなかった。

「処分って?政府の人間だろうと正しい事をするために犠牲になったってのかよ?」

「仕方ないだろぉ?あいつらやり方が汚いんだよ」

「例えそうだとしても、そんなの間違ってる!犠牲の必要な正義なんて正しくない!」

「う~ん…まぁそれも一理あるね。うん、面白い考え方だ。面白いなお前。」

「面白い?私は全然っ面白くない!」

「まぁ怒るなって、俺はお前の考え方を否定してないんだから、お前も俺らの考え方を否定する権利はないでしょ?自我を認め、他者を認めるこれ常識でしょ?」

「じゃあ、なんで政府は認められいんだよ?」

「だ~か~ら~やり方が気に入らないんだよ(笑)あいつらやり方は汚いから認められるワケないじゃん」

なんだか頭の中がグチャグチャにかき回されてワケが分からなくなってしまった…

正しいようで正しくないし、正しくないようで正しいような…

「まっとにかくだ。これからはお前も俺らの仲間だから、今回みたいな事を手伝ってもらう事になるからよろしく」