「さぁ行こう」と声をかけられて言われるがままに、トラックのすぐ横のマンホールから地下に潜った…

それからの事が何故だかあまり記憶にない…

そして気が付いた時には、私は周りにいる仲間達に政府から奪還され、いつの間にやら反政府組織の仲間入りを果たしていたと言うわけだ。

彼ら曰わく何を言っても政府は一度認定したものは確実に洗脳に近い再教育とやらで、人格の再構築をしてしまうらしい。

一度、アソコへ送り込まれたらあなたがあなた自身で出て来られる保証は皆無だと言っている。

私はあまりにも無知だった…自分の暮らす国の事も自分自身の置かれている状況すら分かっていないと言うわけだ。

周りの連中と来たら、仕切りにパソコンに向かいニヤニヤとしながら、何かのプログラミングのような事をしている者。

どこで手に入れたのか銃のようなものを分解しては磨き、また組み上げてをひたすら繰り返している者。

そして、隣に入る男は、目をキラキラさせながらこう私に聞いてくる。

「お前は何が好きなの?教えてくれよ!」と先程も話した通りコレと言って才能があるわけでも、コレと言って好きなものがあるわけでもなかった…

困った私の口から出た言葉は「それは内緒…言いたくないんだ…」と。

その男は「なんだよ~もったいぶるなよ~」と言って私の肩をトンっと叩き、「まっいいや、ここには色んな奴がいるからさ、なんか困ったことがあったら言ってくれよ」とニコッと笑いかけてきた。

なんだか申し訳なかった、私は『こどな』ではないというのに、仲間として扱ってくれているのに、そんな嘘しか付けない事が少し恥ずかしかった。

世間では、再教育と呼ばれているがココではそれを『こどな狩り』と呼び皆が嫌悪感を露わにした。

『ネバーランド』では今回のような奪還行為を正義と信じて疑う事はなかった。

私はふと残してきた家族の事が気になった。

皆どのように考えているのだろうか?

居なくなったことを世間ではどう扱われているのか?

それがどうしても気になり、声をかけてきた男に訪ねると「し~らない。そういやそんな事考えた事ないや。あはは」となんとも釈然としなかった。