また裏では『こどな』特有の性質には危険性があるとして、治療法と称し半ば洗脳に近い再教育の強制執行を命じた。

これによって『こどな』達は半強制的に施設へ送り込まれ、完全に社会に適応出来る『大人』にされていった。

一部、世論や人権団体はこの法案は人権やプライバシーの侵害及び個人の自由の侵害に値すると抗議するが、そのような意見を述べる者やそれを支援する組織は国家と言う大きな刃で断頭され、見事にすりつぶされて言った。

政府の強制執行からのがれた一部の『こどな』達は地下へと潜り、政府のいう『こどな』という呼称に対し、自らを『チルダルト』と称し、反政府組織『ネバーランド』を立ち上げた。

とまぁ私が知っていることや教えてもらった知識だ。

話は半分くらいにしか受け止めていなかった。

反政府組織がこの日本の地下で活動しているなんて信じられなかった。

都市伝説のように誰かが面白おかしく作った話なのだろうと思っていた。

私はこれと言って何か才能に秀でているわけでもなく、何故今ここにいるか全くもって理解できていない。

例の法案が施行され、私の就職した一般企業においても定期診断が義務付けられた。

なんとも、まぁその結果私は『こどな』と認定され、更正施設に送られる寸前の所でだった。

私は何かの間違いだと話せば分かって貰えるだろうと心のどこかでタカを括っていた。


再教育施設に向かうトラックに載せられているとさながら、犯罪者を護送するかのような雰囲気であった…

腰を紐で繋がれ、一列に座らされていると急にブレーキが踏まれて、横につんのめる。

なんなんだ?状況は全くもって理解できなかった。

車の外では何やら口論のような声が聞こえたかと思うと『パンっパンっ』と渇いた音が響いた。

それに驚き、身を縮める何か途轍もないことに巻き込まれていると言うことにこの時点で気がついた。


トラックに載っている他の連中はと言うと「迎えに来たんだ…」と口々に囁き、ザワザワとし始めた。

そして、目をキラキラと輝かせていた…まるで子供のようにだ。

次の瞬間、扉が開き光が中に差し込み、目が眩む。