【亜紀side】

宗吾がいなくなり、

痛い方の足袋をそっと脱いだ。

「・・・ッ。マメがつぶれてる」

通りで痛いわけだ。

・・・

洗面所でハンカチを濡らし、

傷口に当てる。

痛くて、顔が歪む。

その時だった。

部屋のふすまが開かれ、

宗吾か帰ってきた。

・・・

「何をしてる?」

「ちょっと、傷の手当てを」

「私がするから来い」

「エ?・・キャっ」

・・・

またしても抱きかかえられ、

部屋に戻るなり、そっと下ろされる。

宿屋の人に借りたのか、

消毒液で傷口を消毒してくれた。

「滲みるだろうが、我慢しろよ」

「…イタッ・・・」

少し顔を歪ませたが、ササッと手当てをしてくれて、

痛みは一瞬だけだった。

バンソーコーを貼り、手当終了。