私の言葉に、亜紀は首をブンブンと振った。

思わず笑みがこぼれる。

・・・

「お客さん、着きましたよ?

お連れさんは、歩けますか?」


「ありがとう・・・大丈夫だ」

私は先に下り、やっぱりさっきみたいに、

亜紀を抱きかかえた。

・・・

ジタバタした亜紀だったが、

増々周りに見られ、

借りてきた猫のように静かになった。

そんな亜紀が可愛くて、クスクスと笑ってしまう。


「わ、笑わないでください」

「可愛いから仕方がないだろう?」

「もう・・・」

・・・

「お待ちしておりました白鳥様・・・

お連れ様どうかされたんですか?」

宿屋の主人に言われ、ちょっと足を痛めてと言うと、

チェックインは後でいいので、

部屋へ行きましょうと案内してくれた。

ここは、仕事できた時によく利用する宿で、

主人とは顔なじみ・・・