履き慣れない草履。

足袋を履いていたが、靴擦れを起こし、

少し血が滲んだせいか、

足袋がほんのり赤く染まっていた。

・・・

私は迷わず、亜紀を抱きかかえる。

亜紀は驚き、

「ど、どうしたんですか?

下ろしてください・・・」


「足が痛いんだろう?」


「・・・」

辺りを見回すが、タクシーを拾うのは

難しそうだ。・・・あ。

たまたま近くにいた人力車が目に入った。

・・・

私は亜紀を抱きかかえたままそれに近づく。

「連れが足を怪我したんですが、

乗せてもらってもいいですか?」

「それは大変だ。もちろんいいですよ。

お客さんを下ろしたばかりで、丁度空いた所なんで」

・・・

私は一礼して一声かけ、

亜紀を人力車に乗せる。

その後、自分も乗り込んだ。