【宗吾side】

…目の前に現れた亜紀を見て、

いつもと全然違う雰囲気に、

胸がドキッとした。

・・・

綺麗なのに、可愛らしさを失わず、

着物がよく似合っていた。

「…綺麗だ」


「・・・あ、ありがとうございます」

頬を赤らめ、微笑んだ亜紀。

着物を着ると、おしとやかになるらしい。

・・・

「桜華さん、ありがとう」

「いいえ、ごゆっくり、京のデートを

お楽しみください」


「・・・はい」

私と亜紀は一礼して、

亜紀が先に店先ののれんをくぐった。


「あ、宗吾さん」

突然、私を呼び止めた桜華。

「どうしました?」

「亜紀さん、私と宗吾さんが付き合ってたと、

勘違いしてはりましたから、誤解は解いててください?」


「は?!・・・」

私の驚き様に、桜華はまたクスクスと笑っていた。