「それは……事故で頭を強く打ったからでしょ!?」


他に理由なんてない。


何言ってるの?


それとあたし達が兄妹に戻るのとどう関係があるの!?


「違う。

もしかしたら目を覚ましたくないのかもしれない……」


「えっ……」


「理人は……こっちに戻って来たくないんじゃないか…?」


翔平は一点を見つめながら話す。


「なに…それ……」


「自分の生い立ちに絶望した上……好きな女は別の男とつき合っている。

……そんな……俺と美桜のいる世界に……」


翔平のリアルな言葉に、ゾクリと背筋に冷たいものが走った。