口にすると悲しくなるから、敢えてその事実を口にしてこなかったのに。


いまの翔平を見てたら、現実を突きつけなきゃ分かってもらえない気がして。


「………」


やっぱりそれは辛すぎるのか、翔平も一瞬口を噤んだ。


「それ以上の不幸があると思う!?」


「………」


「ないでしょ!?」


翔平なら分かってくれるよね……?


この痛みや苦しみは、あたしと翔平にしかわからない。


それでも、翔平とお揃いというだけで強くいられた。


絶望の中の、唯一の光でもあった。