今度は決して問いかけじゃなく。


これから始まる物語のプロローグみたいに。



トクン…トクン……



「……しょう……」


いつの間にか近づいていた顔は、あたしと翔平の距離を完全になくした。




「美桜が、好きだ」




瞼を下ろしたのは反射的だった。


「……ッ」


唇に温かく触れたのは、夜風なんかじゃない。


ほんの少し熱を帯びた、翔平の唇――…