妹を悲しませた相手を一発くらい殴りに行きたかったもしれない。 それでも、一歩引いて見守る。 それも兄の務めなのかもしれない。 「ふうん……兄貴って、そういうもんなのか」 手に持った缶コーヒーを弄びながら客観的に深く頷く翔平。 それっきり、膝に腕を乗せるように前屈みになったまま沈黙する。 まるで、ここへ座った時に戻ってきてしまったような状態。 「……あ、 ……あたしも…よく…分かんないけど…」