大声で叫んだからか、近所の犬が吠えている。
それ以外はとても静かな夜。
夜の散歩も案外悪くないかも。
空には綺麗な三日月がぽっかり浮かんでるし、程よく風が吹いている不快指数0の夜道はなんだか癖になりそう。
家から少し歩いたところにある公園わきの自販機に到着して、沢山種類のある中、間違えないように砂糖とミルク入りのコーヒーのボタンを押す。
チャリーン。
おつりは80円。
「これじゃあね……」
到底買える飲み物はないし、自販機の中で光るジュースを恨めしく見ながら家へ戻ろうとすると、
「……美桜」
突然闇の中からあたしを呼ぶ声が聞こえ、コーヒーを落としてしまった。