美紅のにやにやに勝てる訳がなく、
私は今日の朝のことを全部話した。
「えー！何それ！
やるなー藍斗くん！」
「ちょ、声おっきい！」
「あーごめんごめん」
そういってわざと
てへってポーズをとる。
こういうとこも大好き
「てかさ、前から思ってたんだけど」
「ん？」
「にいなが絶対否定すると思って言わなかったけど」
「なに？」
「藍斗くん、にいなのこと好きだよね」
…はい？
たぶん私の顔は
人生で1番のまぬけ面。
だって
美紅が爆笑してるんだもん。
「ごめんごめん
そんなに驚かなくてもー！笑」
まだ笑ってるし…
「そんなの絶対にありえませーん」
「はいはい。
にいなは認めないと思ったー」
ケラケラと笑い続ける美紅。
こういうとこ
藍斗に似てるなぁ…。
なんてぼんやりしてたら
後ろからぱこって頭を叩かれた。
「っへ？」
あ、またまぬけな声出しちゃったよ…
ちょっと落ち込みながら振り向くと
「ら、藍斗⁉」
「うん、藍斗です。」
え、うん。
そりゃそうなんだけど
「な、なんでここにいんの⁉」
そう、
藍斗は三組で私は一組。
違うクラスで残念だなぁとは思うけど
きっとおんなじクラスだったら
藍斗のことじっくり見ちゃいそうだから。
そしたら
私の心臓はバクバクだから
最近は
他クラスで良かったって思うようになった。
「なんでそんな驚く？
高橋によーじなの。」
高橋っていうのは
私たち一組の担任でバスケ部の顧問
あ、ちなみに
藍斗はバスケ部
「あ、そっか…」
私
1人でテンパって絶対おかしいと思われてるよね…
そう思って藍斗の方を向くと
優しい笑顔の藍斗と目があった。
恥ずかしすぎます、誰か助けて。
私の心臓は
どんどん早さを増していく。
目をそらせばいいだけなのに
そらしたくないって思ってる自分がいる。
だって
藍斗の笑顔が大好きなんだもん。
すると
ふいに藍斗の手が私の頭に乗った。
なぜかぽんぽんされて
「じゃーな」
そのまま教室を出てった。
な、なんだったの⁉
すごく恥ずかしい！
けど
それ以上に嬉しい。
「おーい、にーなー！」
美紅が私の顔の前で
手をぶんぶん振る。
…あ。
え？
チョットマッテ…
今私の前の席には美紅がいる。
ってことは
さっき藍斗がいたときも
もちろん前の席には美紅。
ナンテコッタ！
恐る恐る美紅をみると…
にーんまりとした美紅がいた。
